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成果主義~日本人のDNAに合っているか?

先週私が住む八王子で無差別殺人が起こりました。

事件がおこった駅ビルは休日には私も時々利用するところで本当にぞっとしました。

今回も「仕事がうまくいかなかった」「誰も話を聞いてくれなかった。」「誰でもよかった。」「大きな事件を起こせば注目されると思った」とこれまで似たような事件の加害者と同じコメントが紹介されています。

通勤途中でも男性のビジネスマンの30代から40代の人にイライラしている人が多いなぁ・・・という印象を受けます。「肩が触れたのに謝らなかった」「かさの水滴がついて濡れたので注意したら逆にどなられた」など駅のホームで取っ組み合いの喧嘩寸前の光景を時々みかけます。

いい大人なのにどうして人前であんな風にイザコザが起こるのか、なぜ皆イライラしているのか・・・と不思議におもって考えてみましたが感じていることが二つあります。

ひとつは、バブルがはじけた後に多くの企業で導入された成果主義がうまく機能していないのかもしれないということです。

もともと成果主義は欧米で始まり日本にも広まったものですが、「結果がすべて」で、そこに至るまでのプロセスにはあまり焦点を当てられないケースが増えています。

欧米人などの狩猟民族は獲物をしとめ持ち帰った人がヒーローです。でも私たちアジアの農耕民族は村人が皆で協力して実りの秋には収穫を分け合うという生活をしてきました。

そもそも一部の人だけが結果を享受することが私達のDNAにあっていないのではないか?とある種の居心地の悪さを感じます。 それなのにそのDNAに反したことをしていることがいくつかの問題を生んでいるのかもしれないと感じます。

ただ、成果主義そのものをすべて否定しているわけではありません。やはりがんばっている人はきちんと評価してあげるべきだと思います。

欧米人は子供の頃から自己主張をするように育てられています。成果主義の仕組みの中で評価された結果が不満であれば「なぜなのか」をしっかり表現してとことん議論します。

でも私たち日本人のDNAは「言わなくてもわかるだろう」とか、

自分の意見を率直に述べると「うるさいやつ」と煙たがられたりするかも・・・」とか

「こんなこと言ったら逆にもっと悪い評価になるかもしれない・・・」

などなど・・・・結局納得できないまま我慢している人が多いような印象を受けます。

成果主義を正しく回すにはやはり上司と部下のパートナーシップの中にしっかりとした対話が存在していなければうまくいきません。

私がある外資系の企業で初めて評価する側に回ったときには、評価者のためのしっかりしたトレーニングプログラムがあり、事前に評価するときの視点や、部下との対話の場面を想定したロールプレイなど、しっかりした準備をした上でスタートさせてくれました。

それでもやっぱり人を評価し、その内容を伝えきるのは本当に難しいことだと実感しました。

ところが、多くの日本の企業、とくに規模がそれほど大きくない企業で成果主義を導入した場合、まず評価者のトレーニングをする時間も予算もないケースがほとんどです。

そうなると8020でほとんど自分ばかり話す上司から一方的に結果を伝えられ、それに対して質問も反論もできないまま、悶々とし、イライラする部下が増えることになります。

今までセミナーや研修の参加者の皆さんから(評価する側、される側、いずれからも)そういう不満の声を沢山聞いてきました。

秋葉原の事件も今回の事件もたった一人でよいから職場で彼らの話をじっくり聞いてくれる人がいたらもしかしたら防げたかもしれません。

皆さんの周りにも話を聞いてあげたほうが良いと感じる人はいませんか?誰かではなくあなたが聞き手になってあげてください。

先日の洋上研修でもコーチングコミュニケーションについて特に「聴く」スキルについてメンバーの皆さんにお伝えしました。皆さんからはいままで「聴いていたつもりになっていた」というコメントが多かったのが印象的です。

聴くことはとても難しいですし、エネルギーがいりますが今起っている社会的な問題を解決するひとつの大切な要素だと感じています。

最後に私が大好きな言葉をご紹介します。

「もっとも簡単な人間の活動に最も人を癒す力があります。それは人の話を聴くことです。ただ聞くだけです。助言したり、指導したりせずに、ただ、黙って黙々とひたすら耳をかたむけるのです。」

       

この本からの抜粋ですがステキな本なのでぜひお勧めです。

マーガレット・ウィートリー「もしもあなたの言葉が世界をうごかすとしたら」より

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コメント

成果主義についてコメントさせていただきます。
コメントするには、タイミングを逸した感もありますね。遅くなってからですいません。

以前サラリーマン時代に成果主義では、てこずりました。
米国みたいに新入社員が入社時に年俸交渉するようなメンタリティーを持ち合わせていない日本人には確かにそぐわないかもしれないですね。

評価する方、評価される方のどちらも経験しました。
実際評価する方では、悩みが大きかったです。いい評価する場合は特に問題ないですが、普通の評価・悪い評価が問題です。
モチベーション低下しやしないか?でも、公正に全体の中でどの程度の成果なのかちゃんと説明しないといけません。(評価の枠があり、全員にいい評価をバラまくわけにはいきかない側面もあります)
本人頑張っているのに「普通評価」ではなかなか納得してもらえません。さらのその後の仕事の取り組み方を相談できればいいのですが…

評価される側としては、大きな問題が発生しました。
ある時、僕個人とてもいい評価されましたが、その説明が『今後の期待料です!』です。
たったこの一言です。頭クラクラしました。
そして、1ヶ月後、辞表出しました。
『この上司の下では、もう働けない!』
自分のは極端な例だと思いますが、評価の説明ができない上司がかなり多いと思います。
お互いがリスペクトしあいながら、コミュニケーションがとれればいいのですが。

長くなってしまいました。


投稿: 地蔵 | 2008年8月 7日 (木) 18時45分

地蔵さん・・・コメントありがとうございます。もしかして あの地蔵さんですね。

サラリーマンをおやめになったきっかけはとても共感できます。

いろいろなケースを見ていますがやっぱりモチベーションが落ちる大きな要因は明確に評価基準や評価結果を説明できない、してくれない上司への不満が多いです。

課題が多い場合も、厳しく、でも愛情をもって、しっかり伝えることが大切だとおもっています。

投稿: 宮澤美恵子 | 2008年8月 9日 (土) 20時20分

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